緊急入院する
重苦しい空気が漂う中、先生が口を開きます。
「このまま入院してもらいます。」
私、(にゅ、入院???)
夫くんは、「え、入院するんですか?もう家には帰れないということですか?」と、うろたえた様子で先生に聞いていました。
明らかに、私以上にショックを受けているのが見て取れます。ここにきて、初めて大変なことになってしまったと、事の重大さをはっきりと認識できたのでしょう。
そばにいた看護師さんが、入院についての簡単な説明をしてくれます。
「大部屋か一人部屋かどちらがいいですか?」と聞いてきました。
私は、間髪入れず、「大部屋でお願いします。」と答えました。看護師さんに、部屋の料金の案内もさせないほどの即答でした。(えぇそうです。もちろん、予算の都合で・・・。(;・∀・))
先生から病状について説明を受けている間、看護師さんに左手首をむんずとつかまれ、患者を認識するためのリストバンドを付けられました。(これは、退院するまでずーっとはずせません。入院中私の相棒となりました。)
夫くんは私に視線を移し、「明日会社を休んで、荷物持ってくるよ。」と力なく言いました。私は、夫くんになぜか微笑んでいました。夫くんとは、しばしのお別れです。
夫くんは待合室に残って、まだ先生から説明を受けるようです。
私の方は、車椅子を押されながら、明かりの消えた暗い病室へと移動することになりました。
何にも用意していません
看護師さんから、「入院の用意はしてきましたか?」と聞かれたのですが、私は「いいえ。用意は何もしていません。」と答えました。
まだ、安定期に入ったばかり。
なので、入院の用意をするなんて、全く考えてもいませんでした。
「妊娠8ヶ月たったら、出産のための入院の準備を始めたらいいよね~。」なんて、のんきに構えていました。
だから、パジャマも歯ブラシも・・・何も持ってきていません。(かばんの中には大量のティッシュを入れておいて助かりましたが、(緊急入院③待っていてくれた 参照)せめて使い捨ての歯ブラシセットくらいは入れておくべきだったと、この時激しく後悔しました。)
大部屋に到着しました。
夜中なので、部屋の明かりは全て消されています。
かすかに人の気配を感じます。満室のようです。
入院の準備を何もしていなかった私は、案内されたベッドに、病院へ来た時の格好のままで横になっていました。(そのとき、夫くんの大きなジーパンを履いていました。)
しばらくして、看護師さんがやって来ました。
「ちゃんと洗濯してあるんですけどね。もしかして血とか付いているかもしれないですけど、これ着てくださいね。」と、病院専用のパジャマを持って来てくれました。
おまけに、ビジネスホテルとかの備品とかで見かけるような、くし、歯ブラシ、おはし、などと一緒に、病院のタオルなども持って来てくれました。
(使い捨ての歯ブラシが入っている袋には、「あなたを特別扱いします。」みたいなことが大きく印刷されていて、思わず笑ってしまいました。)
有り難かった。
「すいません。有難うございます。」私がそう言うと、看護師さんはにっこり笑って部屋を出て行かれました。
急に静かになりました。
私は一人ぼっちになってしまいました。
(まだ、お化粧も落としてないな。うー、落としたいー!。でも落とせないよなー。歯も半分しか磨けてないよ~、ちゃんと歯を磨いておけば良かったなー。こんな事になるんだったら、日中何回もシャワー浴びておけば良かったな~。)と、(←ちなみに、破水した時は、シャワー、お風呂厳禁です。)
あーでもないこーでもないと思いながら、静まり返った暗い病室で、一人ため息をついていました。
つづく・・・
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